授かりし命をつなぐ道

紫微斗数鑑定をしながら、ヲシテ文献や大自然の法則について研究しています

鑑定の活用の仕方②

前回のブログの続きです。

人間は、他人事であれば冷静でいられるものですが、いざ自分事になると感情が出てきますので冷静さが保てなくなります。良い悪いではなく、感情ある生き物だから当然のことです。

例えば友人から恋人との別れ話の相談を受けたときは、冷静に話を聴いてアドバイスできるのですが、もし自分の場合となると、冷静ではいられず、場合によっては目の前のこともできなくなるくらい、感情がかき乱されるということもあるでしょう。

時間が薬となり、徐々に心が癒えて、他のことに没頭したり新しい縁を作っていく中で気持ちを切り替えていく人もいますが、ショックから立ち直れずに、ずっと傷を引きずってしまう人もあります。起こった出来事の度合いによってももちろん違いますが、引きずりやすいかまたはすぐに立ち直れるかというのも、元々持っているその人の性質や、傾向(つまり命盤です)が関係していることが多いことをまず知って頂きたいと思います。

命盤の特徴としましては、まず福徳宮を中心に、命宮・疾厄宮を見ます。また先天象というロジックを使って元々その人が持っている傾向を見ると、考えを引きずりやすいか否かが分かります。ここで注意なのが、引きずらないから良い、引きずるから悪いと考えるのではなく、まずはその人の「傾向」として捉えた方が良いと私は考えます。そうでないと人に白黒や正誤をつけることになるからです。


そして何事にも両面がありますから、切り替えの早い人もメリットデメリットはありますし、同じく切り替えの遅い人にもメリット・デメリットがあります。何度も書いていますように、様々な特性を持ち寄ることで社会は成立していますから良し悪しはないということを再度ここで主張したいと思います。

しかし、どちらかに振りきれ「過ぎる」ことや振りきれ「過ぎた」まま戻ってこないのは問題です。先日のブログで「中庸の道」「アメナルミチ」について触れましたが、振り切れそうになったとしても、落ち着いて真ん中に戻す努力をすることが理想です。なぜなら過ぎた部分に関しては必ず何かの形で調整作用が起こるからです。例えば、怒りすぎて人を殴ってしまうこともあります。悲しみ過ぎて病になってしまうこともあります。また逆に楽しすぎると調子に乗り、誰かを傷つけてしまうような発言をしてしまうこともあります。

要はどちらにも振りきれ過ぎると、何か禍根を残してしまうことが大いにあるということです。

古来から座禅や瞑想など様々なやり方で、人々はこの「中庸」の境地を探し求めました。今の時代であれば日常生活で座禅をする習慣もないでしょうから、少し落ち着きたいときは、自宅に引きこもって時間を過ごすことも良いと思います。また、元気がないときは誰か友人に相談することも良いでしょう。

しかし、最終的には普通の生活に戻ることが一番良いです。「普通」といっても社会の求める「普通」ではなく自分にとっての「普通」だということを附記します。

例えば、会社勤めをしているのであれば会社に行く。自宅に引きこもって時間を過ごす中で会社勤めが自分にとっては難しいと自覚したのであれば、他の仕事で身を立てられるように模索する。主婦をしているなら家事をする。学生であれば学校へ行く。学校に行かないというのであれば、自宅や学校外の場で自分なりにできる勉強をする。病気で静養が必要であれば人と比べて焦らずにじっくり静養する。

などなど、年齢や自分の現状にふさわしい生活や日常を送ることが「普通」だと私は考えています。特に迷いがあるときには、人間は何か突拍子もないことをして心境を変えようとしますが、感情が安定しないためあれこれに手を出して結局長続きしないことが多いです。そういう時程、腰を落ち着けて目の前にある仕事や、自身がしかけた勉強に淡々と取り組むと「中庸」に戻りやすいように思います。そこからまた「道」が生じると説いたのが孔子です。


元々私たちは、前生の業を背負って生まれてきていますから、縁やタイミングが生じると感情が露わに出てくるものです。例えば、友人には穏やかに話していても、対子どもになると感情的になるとか、また夫に対しては穏やかな気持ちで接することができるのに、外に出ると何故か、攻撃的になってしまうなどです。

それは命盤を見れば傾向が書いてありますから、相手が悪いのではなく「自身」の方に見つめ直す要素があるということです。以上のことを各々が自覚し日々心掛けながら生きていくと、何か事が起こってきたときにもおおごとになる前に終息したり、前までは喧嘩になっていた相手ともちょうど良い距離間で付き合うことができたりと、何か自身の心境にも変化が起こると思います。心のセンサーが正常に働くと書くと分かりやすいでしょうか。

特に鑑定や講座が腑に落ちて頂いた方は、何か事が起こってきたときに自身がどのような傾向を持っているかを客観的に見つめることができるようになるため、無闇に感情がかき乱される回数が減ってくるように思います。

特別な方法を使わずに、目の前の状態に振り回されなくなったり、感情のコントロールができるようになることは、生きていく上でも大きな強みになると私は感じます。

もちろん難しいことではありますが、縁があって鑑定や講座を受けて下さる皆様には、紫微斗数が当たる当たらないの次元の話だけではなく、以上のような人間の生き方を知るための「学問」であり、誰でも日常で活用できるものでもあるということを知って頂きたく、改めて書かせて頂きました。